我が子の入院体験談 (1)

■ 咳…。熱…。なんだかおかしいぞ。それは、家族で親戚の集まりに行き、帰ってきた直後のことでした。
「こほ…。ごほ…」
朝、長男(当時3歳)が湿った咳をしています。
(あ、あの子と同じ咳だ。うつされたな…)
親戚の集まりでは、私の弟の子ども2人と一緒に行動していました。その子たちが、同じような咳をしていたのです。
でも、咳の出た朝、わたしは、「いつもの咳風邪をひいた」と思い、さほど気にしていませんでした。
なので、いつも通り、園に通わせることにしました。
■ よくならない!でも、1週間たっても、咳は良くなりません。が、対して悪くもなっていないようにおもえます。
市販の咳止めシロップを与えますが効果はありませんでした。
この時点で、病院に通わせれば良かったのですが、わたしはそれをしませんでした。
わたしは、二人目の子を妊娠(まだ5週目)していて、親戚の集まりから帰った後、出血してしまい、流産の危機にさらされていたのでした。
そして、結局、わたしは流産してしまうことになります。
長男は、わたしの流産の手術後、病室にお見舞いに来てくれました。
長男は、最初はしゃいでいましたが、別れ際(病院に二泊しなくてはいけなかった)には、大粒の涙で「僕、お母さんいなくてもがんばるから…」と言ってくれました。
その時、咳は酷くなっていたように思います。
(あぁ、病院につれていかなくちゃ)
ベッドの上でそう思いました。
退院後、病院へ連れて行くと、普通の風邪薬(軽めの抗生物質。咳止め。痰をきる薬)を処方されました。
しかし、その夜から熱が出ます。38.5℃を超える熱です。
その熱は昼間は下がっていて、夜になるとあがってきます。
昼は平熱近くになるので、どうしてもある程度立って動いてしまいます。三歳児にずっとお布団にいろと言っても、なかなか無理なものがあります。
流産処置後すぐの長男の風邪のお世話で疲れ切っていたわたしは、4日目の夜に熱が上がらなかったことを良いことに、次の日に園に行かせてしまいました。
(これが、一番まずかった…。反省すべき点です)
昼に園から電話があり、
「お子さん、38℃の熱があります。迎えに来てください」
とのことでした。
園に迎えに行って、その夕方、総合病院に行きました。
検査をすると、
マイコプラズマ
(マイコプラズマに付いて知りたいかたは→
こちら)
という病原菌が悪さをしていることが分かりました。
熱が高かったので、点滴をすることになりました。
子供の点滴は、身体に負担を掛けないように、ゆーーっくりと薬を体内にいれていくので、点滴が終わるまで、2時間ほどかかってしまいました。
点滴が終わったころ、熱は37℃ほどに下がっていました。
マイコプラズマに良く効く、【ジスロマック】というお薬を貰って帰りました。
【ジスロマック】について
これは、抗生物質のお薬です。
マイコプラズマには効果が高いとされています。
が、ものすごーーーーくまずい。
これを飲ませるのに、すごく苦労するというお話を良く聞きます。
濃いアイス、練乳などに、さくさくっと混ぜて、一気に食べさせるのが良いようです。
アイスは、味をごまかすためについたくさん使用してしまいたくなりますが、たくさんアイスを食べるほうが辛くなりますので、(やはり薬味のアイスなので)あまり多めにしないほうが良いようです。
■ 熱と幻覚病院から帰ってきて、長男はすぐにお布団で眠りました。
薬も飲ませたし、病名(マイコプラズマ)も判明したので、わたしは少し安心していました。
そしてその夜、2時頃でしょうか。長男の身体が、小刻みに震えているのに気付きます。
目もうっすら開いています。
おでこを触るとすごい熱です。
41℃。
そんな熱、これまで経験したことがなかった私はびっくり。
「大丈夫!!??」
長男に聞くと、長男は「うん」と小さく頷きました。
が、ぼんやりした顔。
そのうち、長男は、押入を指さし、
「電車。ほら、お母さん、電車」
と言います。わたしは、ふすまの横の線が電車に見えるのかなと思い、「そうね」とだけ返事をし、熱を冷ますために水枕を交換したり、抱っこをしたりしていました。
ダンナと「どうしよう。救急に連れていく?」と話し合っていました。
その間も、長男はしつこいくらい
「電車がきた」
と言います。
おかしいなぁ…との思いが、次の瞬間、確信に変わります。
「おかあさん、ほら、蜂がきた。ちくって今お母さんの頭、刺した」
わたしは、血の気が引きました。
薄暗い部屋です。ましてや、蜂なんているわけが…。
そうです。
長男は幻覚を見ているのです。
私は、電話のほうへ走っていき、震える声で病院へ電話しました。
(ありがたいことに、うちの近くに総合病院があり、救急窓口があります)
「幻覚をみていて、熱が41℃あります」
というと、
「すぐ来てください」
とのこと。
ほとんど何も持たず、私たち夫婦は、雨の中、長男を連れて走りました。
■ 救急窓口救急ってどんなものか、私は余り知りませんでした。
病院に行くと、守衛さんに名前を告げます。
すると、「聞いてますのでお入りください」とのこと。
暗い待合室。2,3人の救急患者がいました。
待つこと20分ほど。
その日の当直は、小児科医ではありません。
(多分脳外科医)
「あの〜、うちの長男、幻覚を見ているみたいです」
と言うと、医師は、長男の首の後ろを触りました。
(髄膜炎をおこしていると、首の後ろが堅くなるそうです。髄膜炎は死に至るような怖い病気です。高熱、嘔吐、幻覚が症状で、うちの長男の症状と似ていました)
首の後ろは問題が無かったようです。
医師は、(こともあろうに!)
「幻覚〜…? うーん。ふざけて言ったんじゃないですかねぇ」
「そ、そんなこと、ありません!」
「…うーん。解熱剤、いれたらどうですか?」
そういえば、余りにあたふたしていて、解熱剤が冷蔵庫にあることを忘れていました。
(解熱剤は、冷蔵庫で保管することが出来ます。調剤薬局に確認したほうが良いですが、数ヶ月は持ちます。うちには、以前長男がもらった解熱剤がありました)
「……わかりました」
小児科医ではないので、つっこんだことは聞けません。
今の時点で朝の4時。朝8時になれば、小児科が開くので、とりあえず解熱剤を入れて(座薬)様子を見ることにしました。
■ 入院することに…解熱剤を入れると、熱は引きました。
37℃前後。
とりあえず、身体が楽になったのか、長男は数時間眠りました。
朝の8時。
それから総合病院の小児科へ。(夜にかかった救急病院内にある小児科です)
小児科医の先生は、
「そうかぁ。熱がでたかぁ…。ちょっと幻覚はこわいねぇ。じゃ、入院しようか」
とのこと。
「は、はい…」
入院と聞いて、その時はほっとしました。
夫婦2人で、肩で息をしている長男を看るのは、正直なところ、本当に心許なかったのです。
ましてや、また幻覚を見出したら、どうしたらよいか…。
すぐに小児病棟へ。
四人部屋に入院することに。
でも、そこで問題が…。
「お母さん。あなたも24時間付き添いですからね」
看護婦さんからの一言。
「そ、そうだった…。わたし、自分の入院の用意、なにもしていない…」
出産の時には、十分すぎるくらい、入院セットを準備していたのに、出産が終わったとたん、そんなものはどこかへ行ってしまいました。
(どうしよう…)
側にはダンナがいました。
が、入院の道具(たとえば、歯ブラシとか、着替えとか、洗顔用具とか、生理用品とか…)なんて、そろえて持ってくること、出来るわけがありません。
私が帰宅して、揃えて持ってくるしかありません。
わたしは長男に言いました。
「おかあさん、家にかえって入院のセット揃えてきていいかなぁ? すぐ戻ってくるから。ほら、お父さんが側にいるでしょう?」
長男は大泣き。
その時、熱はまた上がってきていて40℃。
3歳の彼は、心細さとしんどさでいっぱいいっぱい。
こんな時は、やっぱり父親より、母親なのです。
わたしはすごく後悔しました。
長男が、生きるか死ぬか(大げさですが、こんな時、何が起こるか分かりませんよね)の時に、側を離れなきゃいけないなんて。
今までで一番辛い時だろうに…!
どうして、入院セット、つくっておかなかったんだろう!!
しがみつく長男をダンナに預け、必死で走って家に戻って入院セットを作ったのです。
もう、悔しかった。
気が気でなかった。
「どうしてるだろ?」
「大丈夫かな」
「きっと大泣きだろうな」
もう、頭の中がパニックになりながら、歯ブラシ、着替え、その他色々なものをスポーツバッグに詰めていきました。
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我が子の入院体験談 (2)

■ 入院生活嵐のような入院生活が始まります。
(でも、そこの病院は看護婦さんがとっても優しくて、小児科医の巡回も多く、その点では本当に助かりました…。)
まず、長男、初めての入院で相当ナーバスに。
というか、熱が、また41℃にあがったので、ものすごく辛そうです。
長男は「寒い寒い」と言いだし(熱が高かったせいでしょう)、私は、ベッドの上で、長男をぎゅーっと抱っこしながら眠りました。
この時点でのわたしの心配は二つ。
・長男、大丈夫だろうか。治るだろうか。
・わたし、大丈夫だろうか。ぶっ倒れたり、他の入院患者の病気をもらわないだろうか。
長男のことは、先生とこの病院を信頼するしかありません。
そして、わたしは、数日前に流産の手術をしたばかり。
まだ出血もありました。
傷も痛みます。
身体も弱っているはずなので、やっかいな病気をもらったり、長男のマイコプラズマ菌をもらったりしないか、ものすごく心配でした。
さて。
入院生活の実態はというと…。
長男の熱は、入院したその夜には、下がってきました。
そして、やっと落ち着いて眠れるようで、すーすーと安らかに眠っています。
でも、彼の身体には、点滴がついたまま。とても痛々しいです。
(これは、入院6日目までずっと付けたまま)
トイレも大変です。
この頃は、長男は紙おむつは夜だけ。
昼の間は、ちゃんとトイレに行きます。
でも、いつ寝るか分からなかったので、一日中紙パンツをはかせていました。ですので、
「紙パンツの中におしっこしていいよ」
と言っても、嫌がります。
ふらふらする身体を引きずって、長男はトイレに行きました。
また、点滴の水分がたっぷりと身体の中に入ってきます。(脱水症状にならないため)
なので、おしっこの量もはんぱじゃありません!
夜、寝ている間に、紙パンツから漏れてしまうことも多々ありました。
なんど着替えをさせたことか…。
そして。
入院した次の日の朝。
長男。
なんと。
回復!
血液の炎症反応はまだ高いのですが、抗生物質の点滴のお陰で、だいぶん楽になったようです。
でも、まだまだ「見せかけ」の元気。
気を付けなくてはいけません。
しかし、有り余る3歳児の元気…。
これを押さえるのに、本当に苦労しました。
静かにしていないといけない、他の患者に迷惑を掛けてはいけない、ということで、「もの」でつりまくり…。
ベビー雑誌、ちいさなおもちゃ、ビデオ。
まぁ、いろんなおもちゃを投入しましたねぇ…。
一番静かにしてくれたのは、ビデオ。
そのころ、アンパンマンが好きだったので、ツタヤで借りまくって、親子で見ていました。
おかげで、色んな登場人物を覚える覚える(^-^;
少しの間ならば、点滴をつり下げる棒を引き連れて、病院内をお散歩することも出来ました。
あとは、ダンナのヘルプがとても役に立ちました。
ほんと、ダンナが病室に来るのが待ち遠しくて…!
あの頃はいつも、雪山で遭難してしまった人が、救助隊を待っているような心境でダンナを待っていましたねぇ(^-^;
■ 病棟の夜病院の夜。
相部屋の子供たちは、かなり小さい子でした。
1,2歳でしょうか。
ですので、夜泣きが……。
長男は、周りがうるさくても、全然平気。
夜になると、ぐーぐー寝ます。
でも、親のわたしは気になって仕方ない…。
小さい子達のママは、気を遣って、夜泣きをし出したら病室の外へ連れ出してくれます。が、その足音や、泣き声が気になってしまうのです。
そして、24時間付けっぱなしの点滴の交換に、数時間おきに看護婦さんがやってきます。
しかも、わたしの借りている『簡易ベッド』ですが、これがまたうるさい…!
(子供ベッドの側に置くために、親用の『簡易ベッド』をレンタルする事が出来ました)
寝返りを打とうとすると、ききき…とスプリングが軋むのです。
自分も気になるし、他の患者さんにも迷惑だろうし、仕方ないので、わたしは長男と一緒に子供ベッドに寝ることにしました。
(子供ベッドといっても(乳幼児のママが)添い寝が出来るように、ある程度大きいのです)
いやぁ、大変でした。
初めての体験。
慣れない場所。
気になる音。
これ以上眠れなかったら、倒れちゃうかも!
余りに眠れなかったわたしは、数日後、「睡眠導入剤」(普通にドラッグストアで売っているやつです)を買ってきてもらい、初めて試してみました。
「飲んだ。だから眠れるぞ」というふうに、気持ちが楽になったせいか、その日は良く眠れました。
もしかしたら、ようやく身体も入院生活に慣れてきていたのかもしれませんね。
そうそう。
市販の栄養ドリンクも、ガンガン飲んじゃいました…(^-^;
「倒れるわけにはいけない!」と必死だったのです。
■ 病院ごはん基本的に、病院で出されるごはんは、子ども用だけ。
そのご飯も、もちろん、子供が好きなおかずばかりだとは限りません。
時には、「全滅」。食べられるものが無いという日もあるかと思います。
でも、ちゃんと食べないと、風邪が治らない。
というわけで、色々工夫しちゃいました。
ふりかけ…。
ミニカレー。
ちいさな納豆…。
そういうものを買ってきてつけて、なんとか食べさせました。
一方、親です。
こちらはご飯、もちろん出てきません。
(出てくる病院もあるのかな?)
というわけで、入院の間は、わたしは本当にかなしい食生活でしたねぇ。
冷たいお弁当ばっかり。
ダンナに買ってきて貰ったり、(ダンナが病院にいる間は)自分で買いに行ったり。
時々、新鮮な野菜のパックを買ってきたり、色々工夫はしてみました。
でも、温かいご飯、食べたくてしかたなかったなぁ…。
役に立つのが、粉末スープ類。
おみそ汁や、ポタージュのインスタントです。
病棟には給湯室があるので、そこでお湯をもらって、唯一温かい飲み物を食べることができました。
あと、インスタントコーヒーも、疲れた身体をリフレッシュするのに便利でした。
ビタミンの入ったホットレモンのインスタント粉末や、紅茶・ハーブティのティーバッグ、緑茶のティーバッグも重宝しました。
■ 晴れて退院熱は三日目ぐらいに、完全に引きました。
でも、お咳が続いたのと、血液の炎症反応がなかなか下がらなかったので、一週間の入院となりました。
一週間目。
晴れて退院です。
そのころには、本当に元気になっていた長男。
病院の看護婦さんとも顔なじみになり、すごく良くして貰いました。
わたしも無事、倒れることなく看病を乗り切ることが出来ました。
病棟内の洗濯機の使い方も覚え、看護婦さんの名前も覚え、いろいろな病院のシステムにも慣れ、私物の持ち込みも増え(お化粧品とかね)だいぶんストレスも少なく過ごせるようになりました。
振り返ると…。
病気のこと、入院のこと、自分のこと、色々考えることができた一週間でした。
やはり、悔やまれるのは、「入院セット」を用意していなかったこと。
病院から帰宅後、すぐにセットを準備したのは言うまでもありません。
あの入院事件以降、わたしは、咳が出たりすると、早めに病院に連れて行くようにしています。
園のママの中には、
「ちょっとの咳ぐらい登園さえちゃうわ。熱も少しくらいあっても登園OK」
というかたもいらっしゃいます。
もちろん、それでも大丈夫な子もいるでしょう。
4,5歳の、とっても元気な子どもさんの場合、ちょっとのお熱で、家の中に閉じこめておくのは、親も子もストレスですものね。
でも、わたしは、あのとき感じた「子どもが死ぬかも!」という恐怖を感じながら走った夜道のことを考えると、もう少し大きくなるまで、無理は絶対させないつもりです。
入院セットを作ろう
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